2020/3/18発売の人気ラノベ「俺ガイル」アンソロジー「オンパレード」の感想です。ネタバレありなのでご注意を。
概要(内容紹介より)
青春群像小説の金字塔「俺ガイル」がついに完結!
9年の軌跡とアニメ3期の放映を祝し、アンソロジー4冊を2か月連続刊行。
本作は、俺ガイルに登場する個性豊かなキャラクターに焦点を当てた短編とイラストを収録。比企谷小町、平塚静、戸塚彩加、材木座義輝、葉山隼人たちの物語がオンパレード!
しらび、戸部淑、紅緒、うかみといった大人気イラストレーター、白鳥士郎、伊達康、田中ロミオ、天津向、丸戸史明といった超豪華作家陣が参加!! 夢のコラボが実現しました。
そしてさらに、ぽんかん(8)と渡 航による、本作にあてた完全かき下ろし作品も収録!
ここでしか読めない、珠玉の物語!
作品別感想
やはり千葉のハイラインはまちがっている。(白鳥士郎、挿絵:しらび)
「りゅうおうのおしごと」のゴールデンコンビによる作品。
戸塚のお話と思いきや、葉山に食われている感あり。
そう、Jリーグの話です。
よく実情を捉えられており、読んでいて面白いのですが、これを俺ガイルでやる必然性がちょっとよくわからなかった、というのが正直なところです。
いや、こういう葉山のほうが個人的には好きですけどね。
途中、岐阜をとてもdisる箇所があり、「大丈夫か?」と思いましたが、作者は岐阜出身なんですね。よかった・・・
あと、オチが好きです。
ただ、白鳥氏のあとがきだけなかったのはなんでですかね?
義輝の野望・全国版(伊達康、挿絵:紅緒)
八幡と材木座との出会い、そしていかにして彼がラノベ作家を志したか、を描いた作品。
過去話は原作との設定乖離のリスクもあるので、結構勇気のいるチョイスです。
オタク的なネタを楽しむのが、本作の楽しみ方ですかね。
思いのほか比企谷八幡の受験指導は的を射ている。(田中ロミオ、挿絵:戸部淑)
「人類は衰退しました」シリーズの田中ロミオ氏の作品。
「CROSS†CHANNEL」など美少女ゲームのシナリオでも有名なので、密かに楽しみにしていました。
小町の友達を家に呼んで、八幡が勉強を教えることになったのですが、次第にサボる子が出てきて・・・というお話。
アリの習性など、ネタはありきたりではあるものの、俺ガイルの要素を上手く料理していた印象です。
オチもキレイで、違和感なく読めて満足度が高かった一編でした。
平塚静と比企谷八幡の、ある休日の過ごし方(天津向、挿絵:うかみ)
天津向氏は、雪乃sideにも寄稿していますね。
本作は、静ちゃんとラーメンを食べにいくという、ss・二次創作のネタとしては鉄板ものです。
ただそこに「蒙古タンメン中本」ネタを掛け合わせることで、物語にスパイスを効かせています。
クセがない文章はいいと思うのですが、読後感は可もなく不可もなし、といったところでしょうか。
ぼくのかんがえたけんぜんなはやはち(丸戸史明)
「冴えない彼女の育てかた」で一世風靡した丸戸氏。
個人的には美少女ゲームの「ままらぶ」「パルフェ」が好きだったので、読む前から期待していました。
感想としては、書く方の苦労がしのばれる内容でした。
1年前ほど前から企画はスタートしていたんですね。
舞台裏ネタは好き嫌いありそうですね。この方、こんなメタなネタ使う人でしたっけ・・・
やはり妹さえいればいい。(渡航)
さて最後は作者による奉仕部の後日談ですね。
最終巻から待望の小町といろは絡みが見れます
大志の依頼に、小町が加わった奉仕部が解決に乗り出す、という話なのですが、大半はいつもの面々のやりとりで進みます。
雪乃がちょっと嫉妬したり、結衣がツッコミしたり、いろはが毒舌だったり、小町があざとかわいかったり、俺ガイル好きが待っていた展開がそこに待っています。
各キャラクタのちょっとした一言に、今までの物語の積み重ねを感じられる、本当に満足度の高い一話です。
雪乃sideとオンパレードの後日談をぜひ映像化してほしい!
まとめ
個人的ベストはやはり、「やはり妹さえいればいい。(渡航)」ですね。
次点で「思いのほか比企谷八幡の受験指導は的を射ている。(田中ロミオ、挿絵:戸部淑)」でしょうか。
同時発売の「雪乃side」と一緒に楽しめました。
来月は「結衣side」「オールスターズ」とアンソロジーは続きます。期待ですね。
※本ページのアイキャッチ画像は、小学館::ガガガ文庫 より引用。