おすすめできる「なろう小説」の条件を考える

読書

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村上醍醐です。

 

株式会社ヒナプロジェクトが提供する小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿される「なろう小説」。

それはもはや出版業界のみならず、TVアニメや映画など様々なメディアで人々を魅了しています。

今や「ライトノベル」というジャンルは、この「なろう系」小説に飲み込まれつつあります。

その証拠に、Googleトレンドのここ5年の推移を見ると、徐々に検索数に開きが生まれていることがわかります。

それも「なろう小説」が「ライトノベル」を突き放すように、です。

 

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出典:Googleトレンド

 

かく言う私も、ここ2,3年で多くのなろう小説を読んできました。

なろう小説を原作とした漫画やアニメもいくつか目にしました。

 

今回は、(主に完結済みの作品を中心に)読んできた作品から、おすすめしたいものと、私が途中で脱落してしまったものを紹介します。

そして、最後まで読んだあるいは今後も読みたい、と思う作品はどんなものなのか考察していきます。

 

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完結済み(おすすめ度・高)

無職転生 – 異世界行ったら本気だす –

作者:理不尽な孫の手 

 

総合ランキング1位。書籍化も漫画化もされている人気作です。

確かに「なろう小説」を語る上では外せない、エポックメイキング的な作品だと思います。

実際、高い文章力と構成力は目を見張るものがあり、物語が進むごとに作者の力量の工場が見て取れます。

「なろう小説」にはなんとなく「主人公がチート*1で最強」というイメージがあるのですが、本作は常に主人公よりも強いキャラが存在しています。

そのため、いわゆる「なろう系」を求めると良い意味で裏切られ、最後の最後まで「強敵に立ち向かう」王道の展開なので飽きずに読み進められるでしょう。

 

小説投稿サイトでランキング一位を取らないと出られない部屋

作者:理不尽な孫の手 

 

『無職転生』の作者が描く中篇小説です。

内容はタイトルの通りで、よくある「ループもの」に近い展開なのですが、語り口も軽妙で、スイスイと読み進められます。

実際私も、ひと晩中読んで明け方近くなってしまった記憶があります。

それくらい「読ませる力」がある作品だと思います。

「なろう小説」っぽくない分、多くの人にオススメできる作品です。

 

熟練度カンストの魔剣使い~異世界を剣術スキルだけで一点突破する~

作者:あけちともあき

 

個人的にはかなり好きな作品です。

書籍化されていないことが不思議なくらいです。

本作は、主人公が徹頭徹尾圧倒的最強であり続ける「ザ・なろう小説」でありながらも、読みやすい文章と魅力的な登場人物描写が特長です。

もっと知られてもいい作品だと思います。

 

盾の勇者の成り上がり

作者:アネコユサギ

 

書籍化・漫画化はもちろん、アニメ化まで果たした人気作です。

タイトルどおり、どん底から成り上がっていく主人公が魅力的に描かれます。

「盾」が武器になるという発想も面白いですね。

 ただ、いくつかの展開、最終決戦の解決方法は個人的に受け付けなかったです。

本作のスピンオフである「槍の勇者のやり直し」は本編とは異なる面白さで、こちらを評価する人も多いです。

2019年2月現在「外伝 真・槍の勇者のやり直し」が連載中です。

 

10年ごしの引きニートを辞めて外出したら自宅ごと異世界に転移してた

作者:坂東太郎

 

バトル要素はほぼなく、ほのぼの異世界系の作品です。

パソコンで現実世界とコミュニケーションができる、というところが本作の特徴となっています。

2ch(5ch)的な掲示板のやりとり描写が受容できれば、オススメしたい作品です。 

また本作は書籍化されましたが、設定変更が多く「残念だ」という評価が多いようです。

 

金色の文字使い ~勇者四人に巻き込まれたユニークチート

作者:十本スイ

 

書籍化・漫画化もされた作品。

主人公の能力は、かつて週刊少年サンデーで連載されていた「GS美神 極楽大作戦!!」の横島忠夫の「文殊*2」を思い出します。

能力の使い方の工夫もなかなか考えられていたと思います。

読みやすい文章でサクサクと読み進められる作品です。 

 

転生したらスライムだった件

作者:伏瀬

 

通称「転スラ」

書籍化・漫画化のみならずアニメ化までされた作品。

スライムらしい「捕食」という能力を利用することで、最弱から最強へと成長します。

ただ実際には、もう1つの能力「大賢者」スキルがチート級の有能さで、かなり序盤で作中最強になってしまいます。

そのため、以降は主人公のサクセスストーリーよりは周囲のキャラクタの魅力で読ませる感じになります。 

今やなろう小説の代表作と言ってもいい作品なので、なろう小説初心者はまずはこの作品から入るのがいいかもしれません。

 

うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。

作者:CHIROLU

 

書籍化・漫画化されています。

大きく2部構成になっており、前半は小さな娘を中心としたほのぼのストーリーで、後半はシリアスな展開となります。

後半は人によって好みが分かれるかもしれません。 

 

田中のアトリエ ~年齢イコール彼女いない歴の錬金術師

作者:金髪ロリ文庫

 

表現が際どいため万人受けはしないのですが、高い筆力と魅力的なキャラクタ造形は界隈でもトップクラスです。

web版は完結しました。

 

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完結済み(おすすめ度・中~低)

LV999の村人

作者:星月子猫

 

細かいところに目についたり気になるところは多いものの、最後まで物語を描ききったことは称賛します。

 

俺だけ帰れるクラス転移

作者:アネコユサギ

 

「クラス転移」というジャンルがあることを本作で知りました。

爆発的な面白さではないものの、きれいにまとまった良作です。 

 

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連載中 

蜘蛛ですが、なにか?

作者:馬場翁

 

アニメ化もされる有名作。

軽妙な語り口は、とても読みやすくグイグイと引き込まれます。

中盤以降、時系列を行ったり来たりするので、話数の割に話が進んでいないし、最大の見せ場を過ぎてしまった感はあるので、あとはどうクライマックスに持っていくかに注目です。

 

成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです

作者:時野洋輔

 

「職業:無職」が最強だ、というRPGにはよくある設定を題材にした作品です。

ヒロインがかわいく魅力的です。

今後の展開でもう一化け期待したいところです。

 

世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~

作者:とーわ

カテゴリ的には「主人公最強」だし「ハーレム」でもあるんだけど、それが鼻につかない良作。ストーリー展開と同じくらい、レベルアップ時の獲得スキル設定が細かくて、スキルセットの話が楽しみになります。

 

元・世界1位のサブキャラ育成日記 ~廃プレイヤー、異世界を攻略中!~

作者:沢村治太郎(合成酵素)

本作も「チーレムもの」(チート+ハーレム)ですが、キャラが魅力的かつ話のテンポがよくサクサク進むのがGOOD。

 

 

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途中で挫折した作品

ありふれた職業で世界最強

作者:厨二好き/白米良

 

アニメ化もされる有名作ですが、私は主人公がどうも受け付けませんでした。

 

とんでもスキルで異世界放浪メシ

作者:江口 連

 

ある程度読み進めていくと展開がワンパターンで継続が辛くなってしまいました。

 

詰みかけ転生領主の改革(旧:詰みかけ転生領主の奮闘記)

作者:氷純

 

世界観に入り込めず、かなり序盤で脱落してしまいました。 

 

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました

作者:ざっぽん

 

序盤は面白かったのですが、途中から展開が中途半端になってしまった印象です。

ヒロインはかわいいです。

 

元最強の剣士は、異世界魔法に憧れる

作者:紅月シン

 

アイデアは良かったと思います。

もっとコンパクトにまとまっていれば評価が上がっていたのではないかと。

 

私、能力は平均値でって言ったよね!

作者: FUNA

 

こちらももう少し展開に変化があれば。

 

奪う者 奪われる者

作者:mino

 

途中から誰が何をやっているのかわからないです。

 

二度目の人生を異世界で

作者:まいん

 

やめ時を間違えてしまった感があります。

間違いなく実力のある作者さんなので、今後に期待です。

 

カット&ペーストでこの世界を生きていく

作者:咲夜

 

アイデアは良いです。

こちらもやめ時を間違えてしまった作品なのかなと。

 

異世界迷宮で奴隷ハーレムを

作者:蘇我捨恥

 

淡々とハーレムが作られ発展していく様を描かれるのが興味深いです。

緊迫感がほぼ皆無なので頭を空っぽにして読むのが良いかと。

 

レベル1だけどユニークスキルで最強です

作者:三木なずな

 

作中で描かれる謎解き要素を見るに、作者の方の力量は高いと思うのですが、どうしてもワンパターン感が否めないのが悲しいところです。 

 

駆除人

作者:花黒子

 

淡々とした筆運びでトントンとストーリーが展開していくのが特長。導入は結構引き込まれましたが、50話くらいから付いていけず・・・。いわゆる最強チートハーレム物とは一線を画するので、そういうのに飽きた方はいかがでしょうか。

 

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まとめ

「小説家になろう」に投稿される「なろう小説」から私が、読んできた作品を紹介しました。

最後まで読んだあるいは今後も読みたい、と思う作品は共通して以下の要素が揃っています。

 

  • 高い筆力
  • 飽きさせないストーリー展開
  • 魅力的なキャラクタ造形

そこには必ずしも奇をてらった設定はなくてもよいのです。

 

とはいえ、凝った設定だったりタイトルがきっかけで読み始めることはよくあります。

ただ「最後まで読みたい」「人に勧めたい」とレベルになるには上記の要素が重要だと考えます。

 

Googleトレンドを見る限り、「なろう小説」はいまピークを迎えています。

出版業界にも流行り廃りは例外なくありますので、今後このジャンルがどのように発展・変遷していくのか、純粋に楽しみにしています。

 

*1:ゲームにおける改造、あるいはバグやセキュリティホール利用したプレイを意味する言葉が転じて、強力すぎる性能を持つキャラクター・アイテム・必殺技などを指すことが多い

*2:霊力をビー玉程度の大きさに凝縮したもので、漢字一文字の念を込めることで様々な効果を起こす事ができる

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